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令和5年度 卒業証書授与式 式辞

2024年3月1日 12時00分

本日、愛媛県議会議員 明比昭治様をはじめ、御来賓の皆様の御臨席を賜り、愛媛県立西条農業高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生をはじめ教職員並びに在校生一同の大きな喜びであります。

 ただ今、卒業証書を授与された七十一名の皆さん、御卒業おめでとうございます。また、保護者の皆様に対しまして、心よりお喜びを申し上げます。

卒業される皆さんは、令和三年四月に入学されました。新型コロナウイルス感染拡大のため、学校行事の縮小や延期、中止などがあり、マスク越しにしか友達と過ごすことができませんでした。二年生では、予定どおりではなかったものの、十二月に北海道の修学旅行を実施することはできました。

そして、三年生になり、新型コロナウイルス感染症は五類へ移行されました。卒業生の皆さんは最高学年として、運動会、グループマッチ、四年ぶりの西条市産業祭などの学校行事を中心となって、一・二年生を引っ張って、成功に導いてくれました。その中で、自分の進路実現のため、面接や書類作成にも努力し、進路を決定しました。

卒業にあたり、二つのお願いがあります。

一つ目は、『命を大切にしてください。』現在も、新型コロナウイルスやインフルエンザの感染症ははびこっており、気を抜くと集団感染のリスクは高くなっています。さらに、今年一月に発生した能登半島地震や航空機の事故と、いつ自然災害や事件・事故が起こるかわかりません。南海トラフ地震も近い将来発生すると言われています。その中で、卒業生の皆さんは、自分の命を守るとともに、家族や地域の人の命を守る責任があります。農業高校で学んだ生命を大切にする心や地域社会を守る役割で自分の命も他者の命も大切にしてください。

二つ目は、今年度の教育目標は、『Let’s Enjoy 西農(レッツ エンジョイ さいのう)』でした。これからは『Let’s Enjoy Your Life(レッツ エンジョイ ユアーライフ)』で皆さんの人生を楽しんでください。明日からは、西農の一員ではなく、自分の人生の主人公です。自分の人生を自分の身体と心で進んでいかなければなりません。さらに、十八歳成人ということで、皆さんのほとんどの人がすでに成人であり、成人としての責任と義務を持っています。西農で学んだ、知識と技術、学びに向かう力、思考力・判断力・表現力、ポジティブシンキングで様々な困難を乗り越えていってほしいと思います。

また、私事で恐縮ですが、私は一月に還暦を迎え、後三十日で役職定年となります。教諭・教頭・校長と十三年西農に勤務し、西農で校長を終わるのは何か縁を感じています。

結びに、卒業生の皆さん、本日まで温かく見守ってきた保護者の皆様や、創立以来、本校を育んでいただいた同窓生や地域の全ての方々への感謝を忘れることなく、自らが強く踏み出してください。そして、本校の校訓「創造」「誠実」「敬愛」の精神で、確固たる自分を築いてもらいたいと願っています。名残は尽きませんが、巣立ちゆく皆さんの御健勝・御多幸と一層の御活躍を心から祈念し、式辞といたします。

            令和六年三月一日       

            愛媛県立西条農業高等学校長 能田 秀樹

令和3年度 入学式 式辞

 式辞  

 武丈の桜もはや葉桜、野山に春の息吹を感じる今日の佳き日に、保護者、ご来賓のご臨席を賜り、令和3年度入学式を挙行できますことは、教職員一同の喜びであります。心よりお礼申し上げます。ただ今入学を許可しました、85名の新入生の皆さん、入学おめでとう。高校生活への希望と期待、不安を胸に、今日の日を迎えたことでしょう。 

 さて、昨年は新型コロナウイルスに翻弄された年でした。今もなお感染は止みません。0.1㎛という極小の生き物がこれほど人の命や日常に影響を及ぼすとは、我々の誰が想像できたでしょう。

 明るいニュースを探し辛い年ではありました。ところがコロナとは対極に、昨年12月宇宙規模の壮大な出来事がありました。惑星探査機「はやぶさ2」が大きな仕事を成し遂げて地球に帰ってきました。あの歴史的快挙の瞬間を皆さんは覚えていますか。小惑星リュウグウに着陸し、タッチダウンとともに岩石のサンプルを回収したのです。なんと、地球から3億キロ、3年余りかけ、半径3mに着陸した「すご技」でした。もしリュウグウの岩石に有機物が存在すれば、生命誕生の謎が解明できる。その壮大なミッションに成功したのです。

 さて、この偉業は新入生に何を教えてくれるでしょう。3億キロの旅を振り返ると分かります。

 「はやぶさ」は、リュウグウ到着までの間、地球との交信を切れ目なく行い、言わばJAXAの指令通り飛行を続けました。しかしリュウグウ到着後41分間だけは自立飛行しました。なぜなら地球からの電波は片道20分かかります。障害物など、咄嗟の危険を感じてから地球の指示を受けたのでは到底間に合いません。

 そこで「はやぶさ」は、ミッション成功のために地球との交信を切り、まるで知能を持った生き物のように自らをコントロールしたのです。障害物を発見するとリボートと言って、緊急上昇もやってのけました。リュウグウの表面は凹凸、唯一見つけた着地点の直径は6m、はやぶさの直径も6m。この困難に、なんと自らの機体を斜めに傾け、そしてタッチ&ゴー。見事、岩石を回収したのです。

 すなわち、JAXAからの信号に素直に従うこと、そしていざという時、自分で判断しチャレンジすること、そのふたつをもってミッションを成し遂げたのです。

 皆さんはこれまで先生方から知識や技術を学んできました。WITHコロナの高校生活でもそれは変わりません。しかし、今後は先生方のご指導には、中学校生活に増して素直であること、自らを厳しく鍛える場をもつこと、さらには、自分で考え正しく判断し、挑戦できることも必要です。

 「ハヤブサ2」はすでに、新たなミッションを得て、再び宇宙に飛び立ちました。皆さんは、今日、将来の目標を明確にして、ぶれることなく高校生活のミッションを果たさねばなりません。

 結びに、保護者の皆様。お子様の入学おめでとうございます。本日お子様をお預かりします。ハヤブサのように、しっかり教え導く場面と自立を促す場面を、教職員は誠実に指導して参ります。保護者の皆様におかれましては、過保護、過干渉にならず、ましてや自由、放任にならず、日々お子様との望ましい距離を、学校と連携する中で確め、お子様のミッションが果たせますよう、そして3年後、逞しい巣立ちが訪れますようご協力をお願い申し上げます。

 ご出席のすべての皆様に、本校に対するご支援とご鞭撻を引き続き賜りますよう、お願い申し上げて式辞といたします。

 

                            令和三年 四月八日

                                 愛媛県立西条農業高等学校長 久保浩治

令和3年度 始業式式辞

式辞 

 令和3年度がスタートします。春休みはどんな風に過ごしましたか。先月の終業式では「誠実な生活をおくりましょう」とお願いしました。春休みの課題、部活動、実習、また家族や友人に対して、誠実で充実した20日間だったと思っています。

 コロナウイルスにも誠実に恐れた生活だったと思います。残念ながら感染は止まず、今や第4波に突入したと言わざるを得ません。愛媛県全域で、明日から感染対策期、引き続き3密を避けた学校生活になります。 この後、本来なら校歌斉唱、高らかに校歌を歌うところですが声は出せません。校歌演奏です。心で歌うことになりますが、これを機会に、歌詞の意味を深く理解しましょう。 

 皆さんから向かって右側に掲げられている歌詞を御覧なさい。

 「石鎚と望み高く」で始まります。どう捉えますか。石鎚山は標高1982m、西日本最高峰、神が宿るともいわれる霊峰です。望みとはもちろん、生徒の皆さん自身の希望のことであり、学校生活と進路目標への理想と解釈できます。

 石鎚山のように気高い自分自身の理想、昨日までの自分を超えた目標を1年のスタートに当たりしっかりと掲げましょう。 

 続く歌詞は「加茂川と心清く」も同様です。加茂川は全長は28km、石鎚山系を源流に、雄大に蛇行し禎瑞を経て燧灘に注ぎます。名水「うちぬき」の水源となっており、西条を育んでいる「母なる川」とも表現されます。清く澄んだ流れはたくましくも純真な西農生の心根です。

 始業式にあたり、西農生には、この歌詞のように学校生活に確かな居場所を求め、やりがいを確かめ、1年後、2年後の進路の実現にむけて、その理想を高く掲げてください。そしてその土台となるものは、やはり何事にも素直で誠実な心、自分を大事にし、他人を敬う心です。

「石鎚と望高く 加茂川と心清く」

 緑輝くこの道前平野、みんなの生活を支えるこの地に、昨年同様、いえ昨年以上に西農生の生き生きした、すがすがしい命が躍動することを願っています。当面の間は、WITHコロナとなりますが、与えられた条件の中で、新入生の見本となる充実した学校生活がスタートすることを期待して、短く式辞とします。